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こちらのサイトで、好きな坂本龍一の曲を各ジャンルの著名人がそれぞれ10曲挙げる、という企画をやっているのですが、なぜかおれのもとに原稿依頼がなかなか来ないので、このブログで書くことにしました。
──という設定(?)で、去年の一月にこの稿を書きはじめてみたのですが、もたもたしてる間に一年が経ってしまいました。ということで、おれの好きな坂本龍一の曲10ヶを書きます。本日で『12』の発売からちょうど一年です。
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■1 Calling from Tokyo
'89年のアルバム『Beauty』の一曲目。坂本龍一に関する知識なんてまるでないのに、リリースから数年後、たまたま手に取ってみたんですね、沖縄市の
ブックボックス登川店の2階のレンタルCDコーナーで。理由は、沖縄民謡が入ってたから。そんだけ。ほんとにそんだけ。
で、アルバムを聴いたらこの一曲目の「Calling from Tokyo」がすごく好きになりました。CDラジカセの再生ボタンを押したら、やにわに琴っぽいオリエンタルな音色から曲が始まって、そこにアフリカっぽいコーラスが乗っかって、で、サカモト本人が歌い始めて、そして中盤に突然出てくる沖縄民謡の合いの手! あたかもサンプリング素材をループ再生してるかのようなコラージュ感です。サイバーっぽさと民族音楽っぽさが切り貼りされたような、不思議な世界観ですよね。
ボーカルのメロディーラインが好き。口ずさんでて気持ちいいよね。歌詞も、わかりやすい簡単な英語だし。笑
で、おれはこのCDをきっかけに坂本龍一のことを知って、同じくブックボックス登川店で文庫版『SELDOM ILLEGAL』を買ってこの本でYMOを知り、その後やはりブックボックス登川店でYMOのベスト盤をレンタルする、のでした。おれに坂本龍一とYMOを教えてくれたのはブックボックス登川店だったのです。ありがとうブックボックス。
■2 鉄道員 / 坂本美雨
静謐な雪の世界。「もうすぐ笛が鳴る 白い駅を汽車は動き出す 君を乗せて」の部分のメロディーが好き。
■3 Strange Paradise / 中谷美紀
「おーいお茶」のCMを思い出せる世代です。笑
このオープンハイハットが気持ちいいわけですよ。'90年代当時のブレイクビーツっぽさがある。
MステもVHSに録画してくり返し見てましたよ。中谷美紀が、4人に増殖した坂本龍一をバックに歌うやつ。
お茶のCMといえばさ、平成何年だったか、カルピスが発売した
「ゆうゆう茶」なるお茶のCMにサカモト御大自ら出演して、「ゆうゆう、ゆうゆう、ゆうゆう〜♪」と唄ってました。このお茶は拙僧も何回か買ったのですけど、お味は、うーん……。その後、商品はあっさりなくなりました。笑
■4 Music Plans / YMO
イエローマジックオーケストラの坂本曲もいろいろあって迷うけど、いまのとこの気分ではこれを。歌詞が抽象的すぎてよくわかんないけど(ま、『BGM』はどの曲もそうですが。笑)。
この不穏かついわくありげな感じがかっこいい、と令和6年のいまでも思ってます。シンセの音色選びとか、ドラムパターンとか、ボーカルのエフェクトのかかり具合とか。不透明な中を不安定なまま突き進んでいく独特の勢いがあるというか…。
で、この不穏な雰囲気の中、1分1秒くらいのとこに出てくるシンセのフレーズが、すごくきれいに聞えるんだよな。それこそ、夜の庭に差す月の光みたいでさ。
■5 Front Line
'81年のシングルですが、実はおととし初めて聴きました。まりんが『RADIO SAKAMOTO』をやったときにこの曲をかけてたんですね。
いかにも「'80年代前半のサカモト〜!」って感じの音づくりが好きです。『BGM』という暗いアルバムの翌月の発売なのに、うってかわってこちらはポジティブな明るさがあります。いまwikipediaを見たら
「音楽の計画(Music Plans)」の1週間後に録音された。坂本によれば「いわば姉妹編」とのこと。ふむ。
ところで上述の番組でまりんが話してた、ラジオで放送できないエピソードっていったいなんだったのか、長いことに気になったのですが、
ここで答え合わせできます。笑
■6 undercooled / テレ朝『ミュージックステーション』
'04年のMステ。ハードディスクレコーダー、という機械を、自分にしては珍しいことに世間一般より比較的早い段階に手に入れてたのですが、それで録画してくり返し見てました。
テレビの音楽番組ってさ、ある時期まではこういう尖った音楽も紹介してたように思う。いまもそうなのかな。
■7 ax Mr.L. / alva noto + ryuichi sakamoto
以前raster-notonが好きで、イベントに行ってた時期もありました。なのでalva noto自体好きなのですね。この二人ユニットでどれか一曲、といったら、やっぱりこれですね。戦メリの(セルフ)カバーというかなんというか。
死ぬほど音飛びしてる戦メリのCD、みたいな音がひたすら鳴り続けるわけですが、ときおり原曲のフレーズの断片が見え隠れして。そこに「'80年代サントラ」と「'00年代サウンド・アート」という二つの時代の音楽が、"ないまぜ"になったり、ならなかったり、という濃淡が生まれるわけですよ。その濃淡が好きなのですよ。
しかし4分は短いな。もうちょっと長く聴いていたい。自分でロングバージョンをこさえるか…。
■8 only love can conquer hate
'04年『CHASM』所収の直球アンビエント。これもさ、20分ぐらいのバージョンがほしい。自分で作れって話ですけど。笑
■9 2009/4/29の昭和女子大学人見記念講堂ライブ
「Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2009」。おれが行くことのできた唯一のソロコンサート。なんかの曲を弾き始めたものの、なぜか途中でうっかり別の曲になってしまい、大慌てでその曲を弾き納め、あらためて当初の曲を弾き直しはじめた──という一幕がありました。
そういえば'09年は、ワールドハピネスで生YMOを見ることもできました。
■10 東風 / 1996年だったか、坂本を追ったなんかのドキュメンタリー
これ何の番組だったか、詳細忘れたけど、坂本龍一のトリオでのツアーを取材したドキュメンタリーをテレビでやってたんですね。なぜか友人に録画をお願いした記憶がある。家のビデオデッキが壊れてたんだろうか? このVHSも繰り返し観ましたよ。
ステージの演奏に挟まる形で、坂本のweb日記(というものは、世間一般のレベルではまだまだまだまだ珍しかった。おれもまだネットやってなかった)も紹介されていたはず。
■11 Sayonara
すいません、11曲目になっちゃったけどこの曲も入れときます。『ハートビート』に入ってますが、短冊8cmCDシングルも出てます。このシングルは、やはりブックボックス登川店でレンタルしたことあります。笑
■12 明・る・い・よ / 忌野清志郎+坂本龍一
すいません、これもいいすか? ルージュマジックB面。はしゃいだ感じじゃないけど、地味にごきげんな感じが好きです。ほろ酔い、の気分というか。特徴的なハネたリズムと、あとシンセベースの音が良いですね。暖かくなり始めた春の宵に聴きたい曲です。
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あと、これはべつに同意してくれなくて良いのですが、タモリが赤塚不二夫の作品であるように、所ジョージが宇崎竜童の作品であるように(そうでもない?)、テイ・トウワもまた坂本龍一の作品なのかもしれない、と思うときがあります。どんなもんでしょう? まあこういう話は、どこかの酒場でまたゆっくりと。