■2017/12/29~2018/1/4は冬休みで沖縄。

■gocoupのシングルは2018年に持ち越し。

■こちらもぜひ。
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■こっちを見てくる男


■先日のこと。ミスタードーナツ某店でね、コーヒーを飲みながら書き物をしておったのですよ。

なにごともなく、コーヒーを摂取しつつ、平和に書き物を進め、10分後。

おれの隣の隣のテーブルに一人の男が座ってきました。もちろんはっきり確認したわけではないのですが、雰囲気から推測すると、背は175くらい。やせ形。髪は長い。歳は20代の半ばくらい。


■で、この男がね、やけにこっちを意識したような角度で、こっちを向いて座ってるんですわ。

“「こちらに話しかける」ありきの、うっとうしい角度”っていう説明で伝わりますかね?

たま~に飲食店にいるじゃないですか、座ってる角度や体の向き加減が、なんかうっとうしい人。こっちを見てるような、こっちに興味を示してるような。なにか言いたげな。なにか話しかけてきそうな(実際に話しかけてくるかどうかは別として)。

「いやいや、見られてなんかないよ。見られてるなんて思い込むのは自意識過剰の一種だよ」と、おれは自分自身へ言い聞かせたんですが、それすら無効化するほどの、うっとうしい視線というか、うっとうしい体勢というか。

隣の隣のテーブルとはいえ、狭いミスド店内のことだから、距離なんて大して離れてない。なので、このうっとうしい角度が、ことさらうっとうしい。


■とは云いましても、ここで席を替えてしまうのも、なにかに屈したような気になるし、書き物だってこのまま進めたいので、おれはひきつづき平静を装って、この席で書き物を続けることにした。

そういえば、内田百閒の『第三阿房列車』の最後のほうに、百閒の方をジロジロ見てくる変な見知らぬ男の話があったなー、と思い出しつつ。


■いちおう、おれの隣の隣の席の男は、「おれ個人」を見ているわけではないみたいなのね。あくまで、「おれのいるほうの方角」を見てるだけっぽいのね。

とはいえ、その男の視界に含まれてる人間はおれだけだし、おれの席は角っこだし、なにやら追いつめられてるような気になってくる。


■この男は、正面を向いたり、別の方角を向いたりもするんだけど、しばらくするとまた、おれの方角に体を傾けてくるのね。どうも、この角度がデフォルトらしい。


■で、約50分後。書き物も一通り済んだし、飲食店でコーヒー一杯で粘る時間は一時間までと決めてるので、席を立つことにした。

席を立つとき、その変な男の顔をのぞき返してやったのですが、やつの視線はおれではなく、やはり「おれのいた方向」に向いたままでした。

おれ自身が凝視されていた訳ではないので一安心でしたが、おれが「凝視されていた気分」にさせられてしまったのは確かだし、うっとうしかったです。


■それはいいのですが、やつのテーブルには、コーヒーもドーナツも何も載ってなかったのですね。つまり、やつは何も注文せずミスドの席に50分間も座ってたんですね。こいつは店にとってもうっとうしい存在ですね。なんなの、おまえ。