■おいしくないカレーは実在します (後篇) |
(前回のエントリからの続きです)
■愛想の良くない店員が運んできた野菜カレー(大盛り)は、まあだいたいこんな感じでした。野菜カレーと名乗るだけあって、ジャガイモとニンジンがけっこう大きめです。
■そして、肝心の味のほうですが、一言で云うと香りがだいぶ飛んでいるカレーでした。普通のカレーって、口に含んだとたん各種スパイスが立ち上って、カレー感をかもし出すじゃないですか。でもこのカレーは香りがかなり弱い。
それと、これは個人的感想なんだけど、ケチャップの味がする。たぶん、少なからぬ量のケチャップを投入していると思う。間違ってたらごめん。
■こんな味のカレー、どっかで食ったことあるな……と考えてたところ、思い出した。あれだ、これは、給食のカレーですよ。小学校の給食の、まずいカレーですよ。スパイスの香りがほとんど失せた給食のカレー。
せっかくだから文句ついでに云うと、大きめに切ったニンジンがあまり煮込まれてなく、生っぽかった。この堅さでは、食べられない人もいるんじゃなかろうか。
■そしてこの美味しくないカレーを、薄暗い店内で、半月の形のテーブルで、壁のモザイクタイル鏡に映った間抜けな自分の顔を見ながらモグモグと食べる。なおさら美味しくない…。
■嗚呼、こんな事故に巻き込まれるくらいなら、素直に大戸屋にでも行けば良かった。このカレー屋に来るまでの間に、大戸屋は2件もあったのに。大戸屋で梅おろしチキンかつ定食でも頼むんだった。とろろご飯つきで――と後悔しつつも、マザーテレサ級の慈悲に満ちた心で最後まで野菜カレーをちゃんと食ってあげて、900円払ってあげて、店をあとにしてあげた。
■ちなみにこのカレーを無理矢理フォローするならば、付け合わせの小皿に、他の漬物にまじってイチゴがあったのがよかった、ですかね。そんだけ。
■さて、この翌日、会社で先輩に「まずいカレーを食っちゃいましたよー」と報告したところ、
「この世に、まずいカレーなど存在しない」
と即座に反論されたので、おれの身の潔白を証明するためにも、近いうちこの先輩をこの店に連れて行こうかと考えています。
■食い物の味に文句を付けるな、という向きもあるかとは思います。ですが、まずいのを食べてると機嫌も悪くなるし弱気になるしで、健康に良くありません。結果として、死期が早まります。気を付けてください。「まずいものは毒」という言葉もあります。あと、こういう店を野放しにするというのは、日本社会や経済にも悪影響があると思います。以上。
# コンビニなどで売っている、レトルトの「銀座カリー」の方が美味しかった。ほんとに。