■菜の花のスパゲティーなど、二月の日記 |
■二月 日( )
朝の渋谷駅ちかくを歩いてると、おれの目の前をたたたたたと小学校中学年ぐらいの女の子が駆けぬけていった。そのとき、女の子がランドセルにぶら下げていた定期券がぽとんと地面に落ちた。それを見ていたおれは、「あ」と声に出しつつ、アスファルトの上の定期券を拾い上げる。女の子はそれに気づかず、しばらく駆けていく。
ほどなく、女の子もなにかしら異変に気づいたのか。突然ぴたっと立ち止まり、くるっと180°方向を変えてこっちに駆け寄ってきた。おれが定期券を手渡すと、「ごめんなさい。ありがとうございました」と女の子は云った。その声色や表情には、安堵や感謝といった要素はほぼなく、どこかこわばっており、もっと云うとおびえているようでもあった。
そんなに怖い顔してたのか、おれ……。
■二月 日( )
昼食。足を伸ばし、職場から十分ほど歩いたところにある定食屋に入ってみた。
メニューに「お米は当店で精米しています!」などと書いてあるわりには、ごはんの炊き方がもこもこしており、食感が悪い…。もともとこういう炊き方の店なのか、おれの訪れるタイミングが悪くこういうごはんが出てきてしまっただけなのか。いずれにせよ、好きじゃない。
「当店で精米」なんかしなくていいから、美味しく炊いてほしい。
しかし、ネットでこの店について検索すると「家庭的な美味しいおかずでごはんが進む!」といった賞賛のコメントがたくさん書き込まれていた。そうですか。おれの味覚がなんかずれてるんだろうか。
■二月 日( )
スーパーの野菜売り場で菜の花を買う。いままで作ったことのなかった菜の花のパスタを作ってみることにした。
ネットで調べると、やわらかい葉っぱの部分は三十秒、固い茎の部分は一分ゆでればいいそうだ。塩でゆでて、ざるにあげる。
そして、ゆでたスパゲティーと、缶詰のイワシと、ゆでた菜の花をフライパンで軽く炒めつつ和える。
その後、どんぶりに盛りつけて、
──どんぶり? (゚д゚ ) (゚д゚ ) (゚д゚ )
どんぶりでもいいじゃねえかよ、どんぶりに盛りつけて、刻んだ白ねぎを散らす。白ごまも散らす。オリーブオイルを一回し。クレイジーソルト少々。山椒少々。できあがり。
自分なりに適当に作ってみた割りには、けっこううまくできたのでうれしい。
朝の渋谷駅ちかくを歩いてると、おれの目の前をたたたたたと小学校中学年ぐらいの女の子が駆けぬけていった。そのとき、女の子がランドセルにぶら下げていた定期券がぽとんと地面に落ちた。それを見ていたおれは、「あ」と声に出しつつ、アスファルトの上の定期券を拾い上げる。女の子はそれに気づかず、しばらく駆けていく。
ほどなく、女の子もなにかしら異変に気づいたのか。突然ぴたっと立ち止まり、くるっと180°方向を変えてこっちに駆け寄ってきた。おれが定期券を手渡すと、「ごめんなさい。ありがとうございました」と女の子は云った。その声色や表情には、安堵や感謝といった要素はほぼなく、どこかこわばっており、もっと云うとおびえているようでもあった。
そんなに怖い顔してたのか、おれ……。
■二月 日( )
昼食。足を伸ばし、職場から十分ほど歩いたところにある定食屋に入ってみた。
メニューに「お米は当店で精米しています!」などと書いてあるわりには、ごはんの炊き方がもこもこしており、食感が悪い…。もともとこういう炊き方の店なのか、おれの訪れるタイミングが悪くこういうごはんが出てきてしまっただけなのか。いずれにせよ、好きじゃない。
「当店で精米」なんかしなくていいから、美味しく炊いてほしい。
しかし、ネットでこの店について検索すると「家庭的な美味しいおかずでごはんが進む!」といった賞賛のコメントがたくさん書き込まれていた。そうですか。おれの味覚がなんかずれてるんだろうか。
■二月 日( )
スーパーの野菜売り場で菜の花を買う。いままで作ったことのなかった菜の花のパスタを作ってみることにした。
ネットで調べると、やわらかい葉っぱの部分は三十秒、固い茎の部分は一分ゆでればいいそうだ。塩でゆでて、ざるにあげる。
そして、ゆでたスパゲティーと、缶詰のイワシと、ゆでた菜の花をフライパンで軽く炒めつつ和える。
その後、どんぶりに盛りつけて、
──どんぶり? (゚д゚ ) (゚д゚ ) (゚д゚ )
どんぶりでもいいじゃねえかよ、どんぶりに盛りつけて、刻んだ白ねぎを散らす。白ごまも散らす。オリーブオイルを一回し。クレイジーソルト少々。山椒少々。できあがり。
自分なりに適当に作ってみた割りには、けっこううまくできたのでうれしい。