■山の上ホテルの半蔵商店 |
■「山の上」で野菜天丼を食べるのが好きでした、こんばんは半蔵商店でございます、山の上ホテルが本日より休館しております。
上の写真は、みんな大好きヒルトップのプリンアラモードです。
■昨秋、休館が報じられてからは、客室はすぐに満室になったと聞きます。なので、宿泊することはかなわなかったのですが、せめてレストランだけでも味わおう、ということで、秋からじっくりと各店を巡りましたよ。
ガーデン(鉄板焼き)、新北京(中華人民共和国料理)、ラヴィ(仏料理)、山の上(天ぷら)、に加え、ノンノン(バー)、ヒルトップ(喫茶店)、を利用しました。一階のショップでお弁当も買いましたよ。
──まあ、こんな「スタンプラリーか何かやってるのかよ」って具合にせっせと各店に足を運んだのは、ようするにおれが山の上ホテルとたいして縁もゆかりもない田舎者だから、ということを意味してるのに等しいです。縁がないからこそ、あわてて山の上ホテルを楽しもうとしているわけですから。そこは否定できない。
■とはいえ、休館ニュース以前も、まるっきり縁がなかったわけでもなく。
一度だけ泊まったことがあるのです。ただ、それが平成何年のことなのかパッとは思い出せないのですが…。ホテルのテレヴィジョンで『森田一義アワー』の年末特番を見ていた記憶があります(ということは、おれが泊まったのは2013年より前だ)。夜中にホテルを出て、道を渡ったところのファミリーマートでカップ焼きそばを買って、部屋に戻って食べたのは覚えてます。あと、ミニバーの冷蔵庫にガラス瓶のペプシがあったのも覚えてる。
これまでに「山の上」は十回以上は行ってるはず。ガーデン、ノンノン、ヒルトップは、以前も利用したことあります。交通の便も良いし、そんなに混まない土地だし、ホテル自体も騒がしくないので、上京してきた実家の家族や友人と会うのにも便利だし、神保町をぶらぶらしたあとの、ちょっとゼイタクな一人メシにもちょうどいい。
だからまあ、まったくの駆け込み乗車にわかファン、というわけでもないのですね(いばるほどのことでもないですし、駆け込み乗車にわかファンだとしても別にいいじゃんね)。
そうそう、「山の上」で和朝食を食べたことも三回くらいはあったな。一度など、瓶ビールを飲みながら朝メシ食ってた。これ、食べてる(飲んでる)本人は楽しくても、他の客から見たらなんか不穏だよな。朝からすいません。
■山の上ホテルをなにで知ったか、というと、おそらく文藝春秋社の出版物でしょうな。万年筆の手書き文字と活字を組み合わせただけの、文字ばかりのシンプルな広告を載せてたように記憶してます。あの広告がなかったら、おれはひょっとしたら山の上ホテルのことを知らないままだったかもしれない。天丼も食べてなかったかもしれない。広告って大事ですね。
■昨日は「山の上」にて、さしあたっては最後となる天ぷらを食しておりました。
食べながら、昔、橋本治が何かのイベントで、「われわれは、いろんなものがなくなることに慣れすぎてしまっているのではないか」みたいなことを云ってたのを思い出しました。
ついでに、別のとある作家が「われわれは、見えない爆弾を落とされ続けているのではないか」みたいなことを書いてたのを思い出しました。
この二つの文が、山の上ホテルに関係あるのかどうか自分でもよく分からないのですが、これまでも要所要所で思い出してきたし、これからも要所要所で思い出すんだと思います。
しかし半蔵門の国立劇場もだけどさー、ほんとに復活するのかね、という気持ちがちょっぴりはあるのです、山の上ホテル。
1937年竣工のこのヴォーリズ建築がまるごと取り壊されて、そこに「無印良品とさぼてんとんかつと五右衛門スパゲティーとルピシアと銀だことABCマートとZoffとGUと青山フラワーマーケットが入ってるビル」ができても、もう1ピクセルも驚かないであろう自分もいます。
そもそも比較的近年('19)リニューアル工事したばかりだよね? なんでまた休館なんだろう。できることなら、このようなクラッシックで、品があって、大きすぎない、良い意味で小ぢんまりとしたこのホテルをまた訪れたいものですが…。
■おいしかったなー、昨日の牡蠣の天ぷら。牡蠣の天ぷらって、もしかすると初めて食べたかも。