■突発性難聴等(二) |
■六月二十三日(火)
12:45
とつぜん耳がおかしくなった。聞こえ方が変だ。これってあれじゃない? とっぱちからくさやんつきラーメンもとい突発性難聴じゃない? あのキンキキッズの人がなったやつ。うちの会社のFさんもなったやつ。
ためしに耳もとでノック式ボールペンをカチカチさせて、その音を左耳と右耳でそれぞれ聞いてみる。左耳で聞くと、ちゃんとカチカチと聞こえる。どうやら左耳は正常なようだ。しかし右耳で聞くと、なんとも文字で表記しづらい独特な音となる。
なんというか……5000hz以下の音をばっさりカットして、5000hz以上の音は5db上げて、さらにリバーブを軽めにかけた感じ? 要するに、右耳は低音がまったく聞こえず、高音だけが強調されて聞こえ、そこに残響がくわわる。なんなら薄めのホワイトノイズも乗っている。異常事態だ。誰だよ、おれの右耳にエフェクトをかけてるやつは!
救急車を呼ぼうか? とはいえ、呼ぶほどじゃない症状だとも思う。おれよりもっと重症・重傷の人はいるわけだし。気軽に救急車を呼ぶな、というポスターをあちこちで見かけるではないか。とはいえ、突発性難聴は、なるべく早く病院に行かないといけないと聞く。うーむ。あ、あれだ、ワタリ119じゃないやつ、なんとか相談ダイヤル、えーっと何番だっけ、検索、#7119か。電話する。
電話に出た#7119番の人は、ぶっきらぼうというかつっけんどんというか、愛想のない人だった。愛想を求めるような場面でも立場でもない、とリクツでは分かっていても、そういうことを思ってしまう。人間ってほんと勝手だよな。症状を話すと耳鼻科をすすめられる。まあそうか。お近くの病院を紹介します、とのなので会社の所在地を告げる。電話が合成音声に切り替わり、3つの病院の名前が自動でアナウンスされる。それをメモして、その病院の名前で検索。いちばん会社から近い病院に電話してみることにする。
12:50
とある大学病院に電話をする。14時からなら診察可能です、でも紹介状ないんですよね? じゃあ診察料とは別に何とか料を5500円いただきますけど、どうします?と云われる。うーむ。
数秒悩む。うーむ。とはいえ、何とか料5500円、安くはないけどケチるとこでもないので、14時の診察を予約する。
12:55
右耳がおかしくなった、と自覚してから、心なしか、右肩がだるく、右の後頭部がちょっと痛くなってきたような気もする……。気のせいだといいんだけど。
13:00
病院の時間までちょっと間があるので、それまでは会社にいる。
自分の数メートル先に座ってる人がPCのキーボードをカタカタたたく音が、ものすごく間近に聞こえてしまう。おい、距離感まで狂ってきてるのかよ…。人間って、視覚だけでなく聴覚からも距離感を感じ取ってるんだな、と改めて思う。
後輩に何か話しかけられるも、何事もないように自然に振る舞う。右耳のことは話さない。というか、なんだか話し出せない。この、「話し出せない感じ」はなんなんだろうな。誰に何を気ぃつかってるんだか分からない。でも、話し出せない。
13:30
先輩に一声かけて、会社を抜け、タクシーを拾って病院へ。
13:40
病院に着く。受付をして待合室で時間をつぶす。大きい病院に来るのはえらく久しぶりだな、と思う。
14:00
番号を呼ばれて診察室へ。
∴
■ということで、右耳の聞こえ方がおかしくなってました。「変な音が聞こえてくる」のではなく、「聞こえ方そのものがおかしくなってる」のです。聞く音、聞く音にすべて変な加工がされてくるのです。こうやって感覚がおかしくなるのははじめてのことだったので、焦りました。
いま思うと片耳だけでよかった。両耳ともこうなってたらほんとうにパニックになってたと思う。←パニックってなんか死語っぽくない? まだ大丈夫?
■あと、自分の体の異常を他人に話し出せない感じ、も我ながら不思議だった。ほんとうに体調の悪い時、それを他人にちゃんと話すことができないとほんとうに困ることになるよな、と思った。なんかさ、一言二言云っておくことで、事態がなんか良い方向に転がることもあるわけだからさ。
以下次号。
12:45
とつぜん耳がおかしくなった。聞こえ方が変だ。これってあれじゃない? とっぱちからくさやんつきラーメンもとい突発性難聴じゃない? あのキンキキッズの人がなったやつ。うちの会社のFさんもなったやつ。
ためしに耳もとでノック式ボールペンをカチカチさせて、その音を左耳と右耳でそれぞれ聞いてみる。左耳で聞くと、ちゃんとカチカチと聞こえる。どうやら左耳は正常なようだ。しかし右耳で聞くと、なんとも文字で表記しづらい独特な音となる。
なんというか……5000hz以下の音をばっさりカットして、5000hz以上の音は5db上げて、さらにリバーブを軽めにかけた感じ? 要するに、右耳は低音がまったく聞こえず、高音だけが強調されて聞こえ、そこに残響がくわわる。なんなら薄めのホワイトノイズも乗っている。異常事態だ。誰だよ、おれの右耳にエフェクトをかけてるやつは!
救急車を呼ぼうか? とはいえ、呼ぶほどじゃない症状だとも思う。おれよりもっと重症・重傷の人はいるわけだし。気軽に救急車を呼ぶな、というポスターをあちこちで見かけるではないか。とはいえ、突発性難聴は、なるべく早く病院に行かないといけないと聞く。うーむ。あ、あれだ、ワタリ119じゃないやつ、なんとか相談ダイヤル、えーっと何番だっけ、検索、#7119か。電話する。
電話に出た#7119番の人は、ぶっきらぼうというかつっけんどんというか、愛想のない人だった。愛想を求めるような場面でも立場でもない、とリクツでは分かっていても、そういうことを思ってしまう。人間ってほんと勝手だよな。症状を話すと耳鼻科をすすめられる。まあそうか。お近くの病院を紹介します、とのなので会社の所在地を告げる。電話が合成音声に切り替わり、3つの病院の名前が自動でアナウンスされる。それをメモして、その病院の名前で検索。いちばん会社から近い病院に電話してみることにする。
12:50
とある大学病院に電話をする。14時からなら診察可能です、でも紹介状ないんですよね? じゃあ診察料とは別に何とか料を5500円いただきますけど、どうします?と云われる。うーむ。
数秒悩む。うーむ。とはいえ、何とか料5500円、安くはないけどケチるとこでもないので、14時の診察を予約する。
12:55
右耳がおかしくなった、と自覚してから、心なしか、右肩がだるく、右の後頭部がちょっと痛くなってきたような気もする……。気のせいだといいんだけど。
13:00
病院の時間までちょっと間があるので、それまでは会社にいる。
自分の数メートル先に座ってる人がPCのキーボードをカタカタたたく音が、ものすごく間近に聞こえてしまう。おい、距離感まで狂ってきてるのかよ…。人間って、視覚だけでなく聴覚からも距離感を感じ取ってるんだな、と改めて思う。
後輩に何か話しかけられるも、何事もないように自然に振る舞う。右耳のことは話さない。というか、なんだか話し出せない。この、「話し出せない感じ」はなんなんだろうな。誰に何を気ぃつかってるんだか分からない。でも、話し出せない。
13:30
先輩に一声かけて、会社を抜け、タクシーを拾って病院へ。
13:40
病院に着く。受付をして待合室で時間をつぶす。大きい病院に来るのはえらく久しぶりだな、と思う。
14:00
番号を呼ばれて診察室へ。
■ということで、右耳の聞こえ方がおかしくなってました。「変な音が聞こえてくる」のではなく、「聞こえ方そのものがおかしくなってる」のです。聞く音、聞く音にすべて変な加工がされてくるのです。こうやって感覚がおかしくなるのははじめてのことだったので、焦りました。
いま思うと片耳だけでよかった。両耳ともこうなってたらほんとうにパニックになってたと思う。←パニックってなんか死語っぽくない? まだ大丈夫?
■あと、自分の体の異常を他人に話し出せない感じ、も我ながら不思議だった。ほんとうに体調の悪い時、それを他人にちゃんと話すことができないとほんとうに困ることになるよな、と思った。なんかさ、一言二言云っておくことで、事態がなんか良い方向に転がることもあるわけだからさ。
以下次号。